ステロイドについては多くの誤解があるようですが、今まであまりに安易に使われ過ぎてきたのも事実かと思われます。
難病にステロイドを飲ませて治す治療法がありますが、症状が消えてステロイドを減らすときは慎重に、時間をかけておこないます。それに比べてステロイドの外用剤は町の薬屋さんで売られているくらいで、患者さんがあまりに気軽に塗ったり塗らなかったりを繰り返し、薬剤の管理が甘すぎることが副作用の原因になっていると思われます。
一般的に当院では必要に応じてですが、最初の1週間ほどステロイド剤を十分な量外用してもらい、かゆみや赤みを消してもらいます。
ただし、それで治療が終わったわけではなく、さらに引き続き、弱い外用剤を1週間ほど使用してもらい、様子をみながら、塗る回数を引きのばしてゆきます。
最終的にスキンケア薬でその後、半年から一年を通じて肌質を改善させてもらうことで初めてアトピー治療に結びつけます。
最初のステロイドの薬はただかゆみを一時的に消すだけですので、ステロイドでアトピーを治すという言葉は正確ではありません。湿疹のくすりからスキンケアのくすりへと変化させてゆく、その一連の過程そのものに治療効果があるということに着目してください。したがって最初に塗る量、回数、塗る期日を必ず確認してください。
どうか薬を二三日塗っただけで勝手に治療を中止してしまい、不必要なかゆみで悩んだり、お子さんを苦しめたりだけはしないでください。